天草の夢を靴づくりに託して

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それは路上の靴磨から始まりました
 注文靴の製作と靴と鞄を修理する天草製作所は、西荻の乙女ロードにあります。この店のオーナー、西森真二さんは熊本県天草生まれの47歳、青年のように若いです。彼は、福岡県の大学を卒業して東京にある広告代理店に就職しました。いつかは一国一城の主になりたいという夢を抱きながら10数年間、その代理店で営業の仕事に従事しましたが、「このままでよいのだろうか」ともやもやした気もちで日々過ごしていました。「もう一度、足元から自分を見つめ直したい。路上で靴磨をすれば、見えるものがあるかも知れない」と決意、それを実行に移しました。37歳の時でした。
出発地は中目黒駅のガード下、そして試練の時を迎えます
「会社を辞める際、社長からこれからどうするんだと尋ねられました。靴磨きをしたいと答えると、頭がおかしくなったのかと嘲笑されました。両親からも、どうしてそんなことするのかと心配されました」
「これまでの経歴やプライドを捨て、誰もが望まない路上での靴磨きをすることで、己の固定概念に囚われる殻から脱皮できるのではないか。その時は、まだ独身だったので決断できたのだと思います」
「場所は中目黒のガード下、怖さと恥ずかしさから逃れるように無我夢中で靴を磨いていました。そんなある日のこと、お客様からこの靴いいだろうと言われました。しかし、どこがよいのか判断がつきません」
「 そんなことも理解出来ないで、靴磨きは続けられないと考え、浅草にある靴の専門学校に通い始めました。靴の構造や革の種類や特性に関する知識が高まるにつれ、物づくりの面白さにのめり込んでいきました」
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今の夢、New Yorkに店を開きたい
「店名を天草と命名したのは、故郷天草の名に恥じない仕事をして大好きな天草を大事にしたいという思いからです。オープンして3年目ですが、店の看板を見て熊本県出身のお客様が沢山来訪して下さいます」
「帽子にもNew Yorkと書いてありますが、ボクってミーハーでNew Yorkが好きなんですよ。この店のデザインもNew Yorkにあるような店づくりにしたいとこだわりました。何時の日かNew Yorkに店を出したいという希望もあるので」
「西荻には個性的な店が数多くあり、自分の店づくりのイメージにはピッタリな場所です。お客様から革細工や靴づくりの教室を開講して欲しいという声もあるので、この街ですることはまだまだあります」
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お店は常に整理整頓、清潔をモットーに
「オーダー靴はかなり高価ですから、妥協や中途半端は許されません。一足作られてから2カ月後にもう一足頼むと来られるお客様もいます。本当に有難いと感謝しています」 店内には、靴注文と靴や鞄の修理受付窓口だけでなく、手縫いのペンケースや子ども靴などひとつひとつに西森流のこだわりを込めたレーザーグッズが整然と並んでいます。
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「今スタッフは、妻の麻里を含めて4人で切り盛りしています。スタッフの中には、将来自分の店を持ちたいとの夢を持っている者もいます。自分と思いが一緒なので応援したいと思います。店は子供、スタッフは家族のようなもの。スタッフも店のコンセプトを理解して積極的に意見を言ってくれるので嬉しい、自分の店だから自分が正しいのではなくスタッフ全員の店でもあります、人も育てたい、チャンスには何時でも動くことが出来るように攻めの姿勢でいたいと思っています」
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 西森真二さんの夢は、まだまだ大きく広がります。西森さんの天草の青年のような気もちが震災で落胆している熊本の方々に届きますように。

追記:この取材後、西森さんは大病を経験されましたが、病魔を乗り越え新宿店を開設されました。このエネルギーには感心させられます。 編集担当

天草製作所
〒167-0053 東京都杉並区西荻南2-7-5
Tel & Fax 03-3334-6822
E-mail:info@amakusafactory.com
西荻窪南口 アーケードを抜けて乙女ロード徒歩5分左側
営業時間:10時~20時(日曜日、祝日~19時) 定休日:水曜日
文:冨澤信浩 写真:澤田末吉
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