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みなさまへ

  9月5日、一時帰宅もできずに緊急入院し、翌日、急性骨髄性白血病との診断を受けました。倦怠感や知覚過敏と錯覚した歯茎の痛み、痛み止めを飲まないと仕事の出来ない頭痛等があったのですが、年齢的な夏疲れや口腔内の問題と考えていました。

 振り返ってみると明らかな病気の症状でした。幸いなことに婦人科の定期検診で、気になる事があり血液検査をした事から先生が異変に気づいてくださいました。この病気は日単位で悪化するそうで、僅か3日後に病院に紹介状を戴きに行った際には、地下鉄の駅の階段を上るのも苦しく息が切れる程でした。

 病気の原因はまだ充分にわかっている訳ではありませんが、遺伝的要因ではなく、放射線や化学物質等と言われています。勿論、それらは身辺にありませんでした。唯、独りで休みなく働きつづけざるを得なかった状況と精神的なストレスが極限に達していたと思います。

 発病によって、30代前半迄は会話も人付き合いも苦手だった私を、いま此れほど多くの人が支えてくださる事に驚き、とても感謝しています。

 此れを書いている時点で最初の寛解導入療法の抗がん剤治療が終わり、正常な白血球と免疫力が回復するのを待っています。その後、地固め療法という抗がん剤治療を何回か繰り返し、終了後、他の癌と同様に5年は経過を見ることになります。

 白血病は細菌やウィルス等、様々な外的侵入と闘う免疫細胞の生産を担う重要な部分のがんです。その為、治療後も再発などによって免疫力が低下するリスクが減少するまでは、残念ながら養鶏の現場に戻ることができなくなりました。

 みなさまのお顔や卵を必要としてくださっているお気持ちを考えると大変申し訳なく思います。入院により同じ病気を背負ってもそれぞれ人生、立場、年齢等によって苦しみも悩みも異なることに気づきました。私は悲観も楽観もせず現在を受け止めています。

 治療が終わって復帰できた時には、これまでの仕事とは大きく変わると思います。再発や余命の心配もありますが持てる力で奥村土牛研究と文章の執筆、養鶏を核にした交流、杉並区との協力、平飼い養鶏の後進の育成等をしたいと願っています。

 暫し治療に専念し、又みなさまのお役に立ち、共に喜べる日常を取り戻すまで忘れずに見守ってくださいますよう切にお願い申し上げます。

2019年9月24日
窪田幸子

牛の歩みGROUPとは

 牛の歩みGROUPは、どんなに険しい道でもコツコツと歩む集団でありたいと思い命名しました。奥村土牛著『牛のあゆみ』に記された雅号に秘められた願い、養鶏家として約30年歩んできた想いと学芸員として奥村土牛の地道な研究に今後の人生を費やしたいというふたつの願いにあやかったものです。
 就農は祖母からの相続を契機として与えられたものでした。平成3年に改正された生産緑地法、相続税納税猶予制度の内容も正確に知らないまま受け継ぎ、自らの責任となりました。営農品目の何が向いているのか分からず、カジュアルフラワーに取り組みました。耕運や運転ができず、女性として農薬等を使用したくないと考えていた時、父が小規模に行っていた養鶏をより良いものにしようと考えました。農業技術がなくやっていけるのかすらわからないスタートで終身営農の重みに自沈しそうな日々でした。ですが継続は様々な喜びを与えてくれました。お客様の言葉、鶏達に良い事を工夫する喜び。人と関わり、養鶏に軸足をつけて次第に覚悟が決まるうちにその楽しさが感じられるようになりました。蒼も松庵舎も人生の軌跡として私らしくありながら、生きて食べていくという事の大切さ。生き方の模索が今日を形づくりました。合理化だけが人を豊かにするとは言えません。慢心して知恵や工夫を怠らないよう養鶏はしぶとく飽きずに、嵐でも雪でも生きものと向き合わざるを得ないところに大変多くを学びました。

「牛の歩み」はそこから始まったのです。

 牛の歩みGROUPは牛の歩み資料美術館、養鶏、蒼、松庵舎、オフイスオクムラと関わってくださった方々が理念を共にして来た発展形として、今後の活動を一にするグループです。
 蒼は大正5年に建てられた蔵を平成12年に改修し、16年ギャラリーとしてスタートしました(企画ギャラリー)。松庵舎は地域のカルチャー教室として、平成20年から令和元年まで文化教養と手作りの創作を愉しむ講座を開催しました。人は何処かに居場所があるとほっと寛ぐことができる。そんな仲間が集う場になっています。オフイスオクムラは「雑誌やブログなどに著作原稿と写真作品を発表し、いろいろな取材やスタジオで撮影した写真をフォトライブラリーで公開しています。牛の歩み資料美術館の奥村土牛資料室では、取材や調査をもとに土牛研究資料の充実に努めています。ホームページを通して、私たちは裏付けされた真実と考えを発信していきます」(オフイスオクムラホームページより転載)

 私達はこれまでそれぞれの分野を独立して、芸術文化を様々な角度から思考してきました。これからはその経験に基づき、芸術文化に向き合う姿勢を実践するグループとして力強く歩んでいきます。

 2017年8月5日
 (加筆修正 2019年10月29日)